植物遺伝資源研究施設への主要機材の導入完了

お知らせ

2024.02.02

当社は、現在の「中期経営計画」(2022~2024年度)において、持続可能な社会の実現に貢献する新たな事業として「植物遺伝資源ビジネス」の事業化に取り組んでおります。

このたび、植物遺伝資源の事業化検討に使用する研究施設(本社内)への主要機材の導入が完了しましたのでお知らせいたします。

I. 当社が目指す「植物遺伝資源事業」の概要

  • 当社が取り組む「植物遺伝資源(※1)事業」とは、海外の植物遺伝保有国に自生する植物から新しい成分を抽出し、商品化につなげるというもので、現在、世界有数の植物資源国であるアルゼンチン、インドネシアと共同開発を進めています。
  • 具体的には、①両国の植物遺伝資源を活用し商品化が可能な成分を自社で開発し、化粧品、医薬品、機能性食品業界に供給する、②抽出・分析した成分データを同業界に提供することで、同業界の新商品開発を支援します。
  • これまで海外の植物遺伝資源に関する研究開発は、資源提供国との権利調整が障害となり、限定的なものとなっていました。(「生物多様性条約」(CBD=Convention on Biological Diversity)による様々な規制をクリアする必要あり(※2)
  • 一方、資源提供国側では、持続可能な経済成長に向け、各国が保有する植物遺伝資源をCBDの枠内で有効活用したいとの機運も高まってきております。(アルゼンチンやインドネシアが代表例)
  • そこで当社は、両国の行政機関とCBDに準拠した新たな植物遺伝資源の探索・利用に関する共同研究開発に関する契約を締結し、化粧品、医薬品、機能性食品業界で活用可能な植物遺伝資源の開発に乗り出すことといたしました。

(※1) 植物遺伝資源とは、遺伝情報(DNA)を含む有用な植物由来資源のことを指します。従って、果物や農作物は植物遺伝資源となります。ただし、加工が進み、遺伝情報が失われた状態のものは遺伝資源に該当しません。例えば、バニラ豆は遺伝資源ですが、バニラエッセンスは遺伝資源に該当しません。

(※2) 生物多様性条約では、「遺伝資源の取得機会とその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分」(ABS=Access and Benefit-Sharing)を求めています。そのため、遺伝資源を取得する際のルールは資源提供国が定め、当該国の国内法令に基づき取得する必要があります。加えて、資源提供国政府による事前同意(Prior Informed Consent)と提供者との合意(Mutually Agreed Terms)も必要です。さらに、取得・活用する植物遺伝資源については、資源提供国が発行した資源取得許可に基づき生物多様性条約事務局が発行する「国際遵守証明書」(IRCC=Internationally Recognized Certificate of Compliance)を付加する必要があります。

II. 現在の進捗状況

2019年12月
アルゼンチン国立農牧技術院(INTA)と植物遺伝資源の探索利用に関する共同研究開発契約締結

2020年5月
インドネシア農業研究開発庁(IAARD)と同契約を締結

2023年8月
アルゼンチン・リオネグロ州の植物遺伝資源を対象とした「国際遵守証明書」(IRCC)取得

2023年12月
当社内研究施設に主要研究機材の導入完了

2024年1月
アルゼンチン・ミシオネス州の植物遺伝資源を対象とした「国際遵守証明書」(IRCC)取得

Ⅲ. 今回導入した主要機材

①成分分析装置LC-MS/GC-MS:試料に含まれる成分を効率的かつ高精度に特定する装置

②自動サンプル調整システム:①の成分分析装置用のサンプルを調整するためのシステム。自動調整のため、安定した分析データの取得が可能です。

③全自動活性評価システム:植物遺伝資源から得られた成分がどのような生理活性を有しているかを全自動評価するためのシステム

④エキス抽出装置:主に破砕乾燥した植物サンプルから、成分を連続抽出するための装置

※ Liquid Chromatography-Mass Spectrometry/Gas Chromatography-Mass Spectrometry

(研究施設内)

Ⅳ. 今回の機材導入で期待する効果

今回導入した機材を当社研究施設内で一元的に活用することで、多様な植物遺伝資源に含まれる機能性成分を網羅的に分析・評価することが可能になります。より付加価値の高い商品の開発につながることを期待しています。

Ⅴ. 今後の計画

①2024年度からの当研究施設での植物遺伝資源に含まれる成分の分析・評価などの本格的な運用開始に向け、設備運用体制の構築を行っていきます。

②アルゼンチン・コリエンテス州の植物遺伝資源を対象としたIRCCの取得を目指しています。

Ⅵ. その他(資源提供国の持続可能な社会実現への貢献)

資源提供国であるアルゼンチンでは、気候変動による異常気象や深刻な経済状況などを背景に地方の森林・農耕作地域の経済疲弊が社会問題となっています。本事業の取組みを通じて、未使用作物や植物遺伝資源の利用・開発が進むことで、新たな農業の可能性を拡げるとともに遺伝資源の保全と持続可能な利用が進み、農地再生や新たな農業ビジネスの育成、雇用の創出など地域経済の活性化が図られることを期待します。

【ご参考】

1.当社の研究開発に関するホームページ

  https://www.hirata.co.jp/r_and_d/

2.本事業に関連した開示文書(2023年8月10日)

  ■アルゼンチン・リオネグロ州の植物に対する「国際遵守証明書取得」に関するお知らせ

  https://www.hirata.co.jp/news/archives/1576

3.以下の展示会に出展いたします。みなさまのご来場をお待ちしております。

  【展 示 会】 「健康博覧会2024」 FOOD DESIGN EXPO

  【 会 期 】 2024年2月20日(火)~22日(木)

  【 場 所 】 東京ビックサイト 東ホール4・5・6ホール

  【当社ブース】 機能性食品・ドリンク[原料・OEM]展「6G-02」

  出展社詳細 | 健康博覧会 (healthcareweek.jp)

 

 

本件に関するお問い合わせ先
管理本部 コーポレートコミュニケーション部 TEL:096-272-5558